黄素妙論　八深六浅一深之辨

黄素妙論　八深六浅一深之弁

黄帝こうてい問とふて曰いわく。

　八深しん六浅せん、九深しん一浅せんとは何ぞや。

素女そじょ答こたへて曰いわく。

　八深しん六浅せんとは深ふかく差さし入いれて息いき八息いきを吐はき浅あさく拔ぬきあげて息いき六息いき

　をつく也なり。深ふかく入いれて八度どつき浅あさく拔ぬきて六度どつくことに非あらず。

　浅あさくとは琴弦きんげんより玄珠げんしゅに至いたるを云う。

　深ふかくとは嬰鼠えいそより谷實こくじつに至いたを云う。

　此この深浅しんせんの秘術ひじゅつを常つねに心得こころえて行おこなふべし。

　甚はなはだ浅あさき時ときは女人にょにん美快びかいならず、余あまり深ふかきときは男女だんじょの爲ため毒どくとな

　る事こと多おほし。

これは道三の考えなのか、原書に書かれているのかは分からない。
医心方では○浅○深と「浅」が先に来ていて、黃素妙論は「深」が先に来ている。
ここでは、深浅とは入れる深さではなく呼吸法（間の取り方）だと言っている。
今流に言えばスローセックスに通じるところがあるのだと思う。

医心方には浅深の法と言うような独立したものはない。
「九浅一深などの動き」で見た様に、深さだと言っている。間の取り方として呼吸の回数が書かれているが、１セットが終わり次に入る時に○回呼吸すると言うものが幾つかある。呼吸の回数で、間の取り方を教える書き方はある。黃素妙論はその考え方を踏襲して、九法で書かれて居ない部分を補充したのかも知れない。

後半は深さの説明をしている。すなわち、
浅くとは琴弦（一寸）から玄珠（四寸）。深くとは嬰鼠（三寸）から谷實（五寸）となっている。
九浅一深では、後段と組み合わせるて考えると、浅くは琴弦（一寸）から麦歯（二寸）深くは昆石（七寸）。
黃素妙論は琴弦（一寸）から谷實（五寸）までの間で浅い入れる徹底されている。
それに対して、琴弦（一寸）から昆石（七寸）までと、ストロークが長く深くまで入れる様になっている。

どっちが実用的なのかと考えたら九浅一深に軍配を上げたい。
浅くが言う、琴弦（一寸）から麦歯（二寸）はGスポットを意識していると思う。
深い昆石（七寸）は子宮口を意識したものだろう。

黃素妙論は浅くと深くで共通する部分深さがある。それは、嬰鼠（三寸）から玄珠（四寸）の間で、ここにはこれと言ったものが見当たらない。深くしても、谷實（五寸）では浅すぎないか思ってしまう。
深浅利害損益之弁では谷實以上深く入れると病気になるとありので矛盾はない。深く入れる害は、九浅一深でも同様の事が書かれている。深くを昆石とすると矛盾が生じる。そもそも深くを昆石と結びつける考えが間違いなのか・・・

　　