女閨訓 男女同権の弁
家庭内の男女同権に付いての考え方が書かれています。明治維新により西洋の生活様式が音を立てて入って来たかと思うとそうでもない。書かれていることの逆を読めばその当時の家庭(夫婦)の中を垣間見る様な気がします。ここも手抜きをして元本だけにします。
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男女同權の弁
近頃新しき人の男女同權などと唄ふる事あり。其の人々にして心なくこの閨房を読むまば夫の求め欲する事は何時も唯々諾々(いいだくだく)として之に従ふべしとあるを見て或いは不満の心あるべし。之実に思はざるの甚だしきものなり。
由来家庭の於ける男女同権などは我が日本の国体に叶はぬのなり。夫唄婦和(※夫唱婦随の誤りか?)掟は我国の美風として傅へらるゝ所なればなり。若し?(ここ)に家庭の内にも男女の同權を認むるものとせよ。されど神聖なる閨房の裡には及ぶ可らざるなり。
何となれば同權とは權利義務の男女均等にてあらん事なり。家事の方針一家の経済等の事に就きては妻亦充分その意見を述べ、その主張を云ふも宜(よろ)しからん。
然れども人間交合の道は実に本能の命ずる処、人情の疑る所にして權利義務なんど浅はかなるものに非ざるなり。夫にして妻を可愛しと思へばこそ之を妻に求むるなれ、然らずして唯々色欲の満足をのみ得んと思はヾ何ぞ必ずしも妻を煩はすの要あらんや。至る処に女ありて媚(こび)を呈して男を迎ふるに汲々(きゅうきゅう)たるものあるなり。
妻としても亦夫は我身を可愛しと思えばこそ求むるなれば感激してこれに従ふなり。閨房は実に權利義務の侵入を許さヾる別天地なるのみならず、一旦此処に交合の大道に従ふ時は主人の威厳もなく妻としての静淑(せいしゅく)もなく、唯男女渾然一体(こんぜんいったい)に抱合ひ溶合ひて自然のまゝに天賦の偸悦(ゆえつ)を賛美する所にあるなり。
さらば家事の方針、一家の経済等の事に就いて夫婦意見を異にし夫に不快の念ありたりとするも、若しその夜妻より交合の事求め見を粉にしても夫を楽しましむるの誠を腰の仂(はたら)きを示さば昼の不快は、たちどころに消去りて再び和合の基を開くべし。
之に反して夫婦如何ほど理性の一致を見るとも、一夜夫より之を求むるも妻快く受けず、仮令従ふとも誠の情を尽さヾれば、夫の心や果して如何なるべき。古より「食物の怨みと色の怨みは生涯忘れず」と云ふ諺あり。家庭の不和実に之より生じ、夫は遂ひに他の女に心惹かるゝに至り一家の破綻は真に此の事に因って起るものなり。家庭既に破れなば何の同權かあらんや。云う者深く心すべき事にこそ。
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さて次は「種々な方法に就いての心得」です。心得でこれ?心得の意味は広かったのですね。どうも「心構え」と理解していたのは勉強不足でした。剣の心得があるとも言います。さしずめ閨房の心得になり4つの方法が書かれています。1つづ見て行くことにして次は本間(四十八手では本手)です。
関連ページ
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新婚の心得-2 色々な方法-本間
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男女同權の弁
近頃新しき人の男女同權などと唄ふる事あり。其の人々にして心なくこの閨房を読むまば夫の求め欲する事は何時も唯々諾々(いいだくだく)として之に従ふべしとあるを見て或いは不満の心あるべし。之実に思はざるの甚だしきものなり。
由来家庭の於ける男女同権などは我が日本の国体に叶はぬのなり。夫唄婦和(※夫唱婦随の誤りか?)掟は我国の美風として傅へらるゝ所なればなり。若し?(ここ)に家庭の内にも男女の同權を認むるものとせよ。されど神聖なる閨房の裡には及ぶ可らざるなり。
何となれば同權とは權利義務の男女均等にてあらん事なり。家事の方針一家の経済等の事に就きては妻亦充分その意見を述べ、その主張を云ふも宜(よろ)しからん。
然れども人間交合の道は実に本能の命ずる処、人情の疑る所にして權利義務なんど浅はかなるものに非ざるなり。夫にして妻を可愛しと思へばこそ之を妻に求むるなれ、然らずして唯々色欲の満足をのみ得んと思はヾ何ぞ必ずしも妻を煩はすの要あらんや。至る処に女ありて媚(こび)を呈して男を迎ふるに汲々(きゅうきゅう)たるものあるなり。
妻としても亦夫は我身を可愛しと思えばこそ求むるなれば感激してこれに従ふなり。閨房は実に權利義務の侵入を許さヾる別天地なるのみならず、一旦此処に交合の大道に従ふ時は主人の威厳もなく妻としての静淑(せいしゅく)もなく、唯男女渾然一体(こんぜんいったい)に抱合ひ溶合ひて自然のまゝに天賦の偸悦(ゆえつ)を賛美する所にあるなり。
さらば家事の方針、一家の経済等の事に就いて夫婦意見を異にし夫に不快の念ありたりとするも、若しその夜妻より交合の事求め見を粉にしても夫を楽しましむるの誠を腰の仂(はたら)きを示さば昼の不快は、たちどころに消去りて再び和合の基を開くべし。
之に反して夫婦如何ほど理性の一致を見るとも、一夜夫より之を求むるも妻快く受けず、仮令従ふとも誠の情を尽さヾれば、夫の心や果して如何なるべき。古より「食物の怨みと色の怨みは生涯忘れず」と云ふ諺あり。家庭の不和実に之より生じ、夫は遂ひに他の女に心惹かるゝに至り一家の破綻は真に此の事に因って起るものなり。家庭既に破れなば何の同權かあらんや。云う者深く心すべき事にこそ。
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さて次は「種々な方法に就いての心得」です。心得でこれ?心得の意味は広かったのですね。どうも「心構え」と理解していたのは勉強不足でした。剣の心得があるとも言います。さしずめ閨房の心得になり4つの方法が書かれています。1つづ見て行くことにして次は本間(四十八手では本手)です。
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