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女閨訓 序-2

昨日に続き序の残り半分半分です。
元本(昭和19年)
女閨訓(全) 序
口語訳
女閨訓 (全文) 序
 こうも人の一生は唯だ色食の二慾を離るゝはざる故に生きくるなり。食慾なければ直ちに死に至り、色慾なければ家内和合せず子孫断絶す。し人皆ことごとく色慾を失へば、百年を出ずして此の世に人間の種絶ゆるに至らん。道の教、仏の教、精神の力もさる事乍ら、人間滅びなば茲に何の道か之有これあらんや。 こうも人の一生はただ色食の二欲から離れて生きることは出来ない。食欲なけば直ちに死に至り、色欲なければ家の中が不穏になり子孫を絶やす。もし、全ての人がことごとく色欲を失えば100年を待たずして地球から人類が消滅する。各宗教、精神の力もさることながら、人類が滅んで何の道としてあるのか。
  1. 斯くも:このように。
  2. 淫事:みだらなこと。主に、男女の交合。
  3. 劣情:性的な欲望や好奇心をいやしんでいう語
     今若し茲に人一身の養生を説くものありて、如何に唯鍜4錬の道をのみ唱道5するも、飲食の事に留意の言及ばざれば畢竟ひっきょう 6空しき徒事いたずらごとなるべし。同様に茲に亦幾何の女子修身の書ありて、千万の言を連ねて婦道を教え、婦徳を説くも、云う所閨房の事に及ばざれば、仏つくりて魂を入れざるの類にて何の修身済化せいか7か之あるべき。けだし一家和楽一族の繁栄皆ことごとく閨房に端を発するが故なり。 今、もしここに人の一生の養生を教えるものがあり、率先して、如何に鍛錬が必要かを話しても、飲食の注意に言及しないなら、究極の教えでも空々しいものです。同様にまた、ここに幾つもの女子修身の本があるが、千万の言葉を連ねて妻として守るべき行いを教え、婦徳を説いても、いうところ閨房のことに及ばなければ、仏を作って魂を入れないのと同じで、何のための修身済化か、まさしく一家団らん一族の繁栄ことごとく閨房から始まるのです。
    1. 鍜:鍜は鍛とよくこんどうされる。
    2. 唱道:自ら先に立ってとなえること。 
    3. 畢竟:両字とも終わりの意、仏語。究極、至極、最終など。
    4. 済化:救い導いて善に移らせる。
     然るに閨中のことたるや、かつて世間に誤りてこれを卑しむべきこととなし、口にするも愧づる風になりてより、何れの書も之を説かず、師父しふ7も之を教えず、即ち尋ね学ばんとするとも拠るところなし。之を以て子女往々不知にして嫁ぎ以て身をあやまり、家を破るに至りる者たたありあに嘆かざるべけんや。すなわち此の書はもっぱら子女の為に閨中の心得こころえを説かんする所以ゆえんなり。他の婦徳に就ては自ら他に書あるべしと云爾。うんじ8
     明治丙午ひのえうま四月下浣かかん
     しかるに寝室内のことになると、かつて世間にあやまって、これを卑しむ事として、話すことも恥じるようになり、何れの本もこれを書かない。先生もこれを教えることがなく。従って、学ぼうとしても学べない。こんなことだから女子は往々にして知らないまま嫁ぎ過ちを犯し、離婚する者が多くある。こんなことで、決して嘆くたくない。すなわちこの本は子女だけの為に寝室内の心得を教えるものです。他の婦徳については別の本があります。
       明治39年4月下旬
    1. 師父;父の様に敬愛する師。
    2. 云爾:これにほかならない。


    今日でも恋人や夫婦でセックスなどのことを自由に話せるカップルは少ないと思います。
    そこには、やはりタブー視する風潮があり、話したら相手がどう思うのかと不安な気持ちがあって話さない様に思います。
    話したい、或いは聞いて欲しいことを溜めこんで耐えきれなくなった時、夫婦なら浮気に走ることになるように思う。

    男女の間には親しい仲と言っても万里の長城が隔てているようなことはありませんか?

      
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